2005年9月19日
Sの扉
昨夜の電話。
本当だろうか・・・?
Sの失踪。
いつでも自分勝手なS。
自由奔放で、他人の怒りを買いそれでもその怒りさえも「クスリ」と笑ったS。
だけど、怒りはかっても迷惑をかけたりする男ではなかった。
6年も付き合ってきた私こそが、いつもの浮気相手。
彼にとっての本命は、いつでも新しい女でわたしは「いつもの浮気相手」
新しい本命からの電話。
「あなたがSの女でしょう?後始末はあなたがしてよ。」
じわりと闇が迫るような三日月の夜に、重い足取りでSのマンションを目指す。
重いはずの足取りは、何故か小走り。
狭いエントランスが見える頃、私の足は出来る限りの速度で前進していた。
最後に訪れたのは、2ヶ月前。
溜息をつきながら背にした、小さなエレベーター。
行きも帰りも一人で乗るエレベーターで、今初めて私の心は躍っていた。
何に?
いったい何に、これほど胸を躍らせているのか。
自分の狂気じみた鼓動に、不安と焦りすら感じながら。
「鍵持ってる?」
いつかのあの子だ。
Sに冷たい笑いで追い返された、あの夜に私を笑った彼女。
「もうすぐ管理人の人来るから。よかった、あなた来てくれて。来ないかと思ってた。」
あの時と同じ、せせら笑い。
「じゃあ。」
彼女は寄りかかった扉から背中を離した。
「ちょっと待って、どうして私の電話・・・・。」
知るはずのない携帯に、昨夜電話してきたのは彼女だった。
「ああ、これ。これも渡しとくね、あたしが持ってても仕方ないから。」
彼女は小さなバックから、Sの携帯を取り出した。
「これさあ、Sが落としたんだよね。あたしの部屋で、で壊れちゃったの。」
思い出し笑いを浮かべて彼女は続けた。
「どこにもかからなくて、こんなのいらねえ!って。おかしいよね。」
せせら笑いじゃない彼女の笑い方は、本当に少女のような可愛さだった。
私は、管理人を待たずに部屋の扉を開けた。
「本当の彼女は、あなただったよね?だって、鍵持ってるのあなただけだったよ。」
彼女の言葉に心がときめいていた。
Sの居ない部屋の扉に手をかけながらも。
つづく。。。
投稿者 さゆりん : 2005年9月19日 03:54
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コメント
さっそくきたよ~。ハイタイ!さゆりんさん。
書きましたね~。ふふふ。
面白かったです。
「こんなのいらねえ」なS、振り回しているようで
おぼれているのかも。
こうなって初めて、1号になるなんて
せつな~い。(;_;)
「私」以外は、結局、Sに遊ばれてるようで
遊んでいたのかな。
いろいろ考えちゃった★
それだけ含まれてる要素が多いんだな。
葉月のは、そのまんま、なんだかつまらない。凹
みんな文才があるんだねぇ。
でもいいや、へたっぴでもかいてる間が面白いんだもん。うふ。
また書いてね。もっと読んでみたい★
楽しいな。アリガト(≧▽≦)
投稿者 葉月 萩 : 2005年9月19日 10:00
葉月さんへ
いやん、恥ずかしい(^^;
でも、嬉しい♪
続けられるといいんだけど~汗;
葉月さんの文章は、とっても綺麗で
時間の流れがあるのに対して
わたしは、ドス黒な小一時間。。。
いやあ、難しいですね;
頑張ります!
葉月さんも、素敵な作品を楽しく書いてね♪
私に楽しみを、教えてくれてありがとう♪
投稿者 さゆりん : 2005年9月19日 10:24
このたびは「いっぺん」にご参加くださってありがとう。
サスペンスな香りがする、とてもせつないラブストーリーだと思いました。
最後の3行が効いてます。
男の名前は敢えて「S」にしてあるのかな?
名前もないし、「彼」という表現でもないところが作風にマッチしていて
想像力をかき立てられるようです。
また遊びにきてくださいね。次作も楽しみにしています。
投稿者 小日向 : 2005年9月19日 12:02
小日向さんへ
こちらこそありがとうございます♪
「S」は何人かの女たちが共有する、
同じ存在を表したかったので、あえてイニシャルにしました。
800字というのはなかなか難しく、表現が言葉を知らない分ついていきませんね。。。
改めて、800字の真意を感じました。
もともと長編で考えていたものを区切って、
お題にあわせて進めて行きたいと思っています。
次のお題を楽しみにしています♪
今後もよろしくお願い致します☆
投稿者 さゆりん : 2005年9月19日 21:52
