« Sの彼女 | メイン | 身の回りバトン☆ »

2005年11月10日

Sの背中

cl_cat_1_4

Sが居なくなってから。。。
私は毎日Sの家で眠っている。
Sを待っているわけではない。
Sを征服したような気持ちに酔い痴れているような・・・

私の夜は明け方始まる。
店を出て、私のアパートの前を通り過ぎ始発に乗り込むのは変な気分。

その扉を開けると、正面奥に見える朝日に碧く照らされたソファ。
一人掛けのそれはSの背中に見える。
今にもくるりと振り返りそうな。。。

私はそれに深く座り、Sの残り香を探すのを楽しんだ。
もう一週間。
まるで詩人にでもなったように、ステンレスの月をただ見つめる。
今日がいつで終わったのか、そしてもう明日になっているのか。。。
私の今日はいつでも砂のように落ちていった。

Sも・・・

私の今日と同じように、留まることなくするりと抜け落ちて
いつも私の前を歩く。
見つめる女など振り返りもせず。

Sの服をだぼだぼと着て出勤する私に、周囲の目が怪しさを帯びているのを感じる。
その度に私は恍惚に酔うのだ。
私はSの部屋で暮らし、自分のものを持たずSの物を身にまとう。

この椅子で薄い眠りにつき、Sを思う。
眠りの中ですら私はS一色だ。
あの冷たい目が、記憶から妄想に塗り替えられていく。
そうだ、私はSが居なくなるのを待っていたのだ。
と思うくらいに、私の一週間は充実していた。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・!」

今まで鳴ることのなかった電話が鳴った。
背筋が凍る。
S?
まさかね。
もしもSなら、ここには電話をかけない。

「・・・もしもし・・・?」
恐るおそる出てみる。
好奇心だった。

「もしもし!?加奈ちゃん?私!涼子!」
電話の向こうで、りょうちゃんが怒鳴る。

「・・・・。」
「どうしても会いたいの。時間取れない?」

「・・・いつ?」
「早いうちがいいの。」

「今日?店に出る前なら・・・。」
「何時?加奈ちゃんに合わせるから、時間と場所。」

「じゃあ、4時にこの下の喫茶店で。」
「わかった。」

そして何も言わずに切った。
りょうちゃんが何故私に会いたいのか。
私にはわかっている気がした。
りょうちゃんはSの居場所をつかんだ?

「まさかね。」
声に出して、窓を開ける。
冷たい風が身体を通り過ぎ、そして消えた。
下を見下ろすと、駐車場で黒い何かが車にひかれて死んでいた。
猫。
小さいその死体を見下ろし、
「まさかね。」
と、もう一度つぶやいた。

投稿者 さゆりん : 2005年11月10日 01:11

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://marplus.net/mt/mt-tb.cgi/216

コメント

さゆりんさん、こにちは~★
読ませていただきましたん。
まさかね、が効いてるねぇ。
続きが気になるよ。
かなちゃん、やっと出てきて嬉しかったけど
ちょっと壊れ気味???汗。
今回も忙しい中、お疲れさまでしたぁ。
とわさんもお疲れかな?800字お休みだね★
この間に、少し別なものを
葉月は書いてみる予定だよ~。
書くこと自体が練習だもんね★
がんばるよぉ~。

投稿者 ハヅキシュウ : 2005年11月11日 15:44

エントリーありがとうございます。
あー、今回もどきどきしたわぁ(笑)
頭の中で「S」を描いてみるんだけど、まだよくわかりません。
意外性を持ってる人のような気がするんだけど。。。
勝手な願望書いちゃった。お許しください〜

投稿者 小日向 : 2005年11月11日 23:04

葉月さんへ

こんばんわ☆
加奈ちゃんは壊れてるんですよ^^;
でも、みんな壊れてるんです。
登場する女の子、みんな。

私も少し違うのかいてみようかな。。。
ずっとSだから。。。書けるかなあ??

小日向さんへ

お忙しいのに来てくれてありがとうございます☆
Sの描写にいつも戸惑います。
実はこれは大学ノートに3冊弱もある話で、
高校生の時に書いたものを800字に当てはめてるももなんです^^;
だから、まだまだ続くかも。。。
今回のお休みを期に、何か新境地を探せればいいなあ。。。
Sについて、もっと深く私も考えて描写できるように。。。

投稿者 さゆりん : 2005年11月12日 01:16

コメントしてください




保存しますか?